販売業で働いている人は、日々の数字を気にしながら売上を取るために試行錯誤していると思います。
私もその中の一人であり、販売に対しては昔からいろんなことを試しては失敗を繰り返してきました。
売上を取るためには【客数】×【客単価】ですが、あなたのお店が入っている建物の集客力やイベント力、立地などによって変わるので【客数】をコントロールすることは難しいです。
ですが【客単価】であれば、販売力を上げることで一人のお客様に高単価の商品を購入してもらい、売上を取ることができます。
販売員の中には
「高い商品を売るのが難しい…」
「高い商品の売り方が分からない…」
と、苦手意識を持っている人が多く、それを教えてくれる人もいないので【客単価】を上げることができていません。
それでいて日々の【客数】も少ないので、お店の売上が取れないという厳しい状況のところも数多くあります。
そこで今回は「高額商品を販売する5つのコツ」についてお伝えします。誰もがすぐに使える具体的なテクニックですので、売上で悩んでいる人は最後までご覧ください。
高額商品を販売するコツとは?
競争の激しい今日のビジネス環境において、セールスをマスターすることは、どの企業にとっても成功のために極めて重要なことです。
高額商品を販売する場合は、価格帯が高いため、より戦略的でニーズに合わせた販売アプローチが必要となります。
ここでは、高額商品の販売をマスターすることの重要性と、この種の商品を効果的に販売するためのヒントをご紹介します。
まず、なぜ高額商品の販売をマスターすることが重要なのかを理解しましょう。
高額商品は低価格商品と異なり、販売サイクルが長く、複数の意思決定者が関与することが多いです。つまり、高額商品の販売プロセスは複雑で困難なのです。
販売テクニックや販売戦略を十分に理解していなければ、このプロセスを成功させることは難しいでしょう。さらに、高額商品の購入を希望する顧客は、その意思決定プロセスにおいて、より目が肥え、細心の注意を払っている傾向があります。
そのようなお客様は製品にかなりの金額を投資しているため、金額に見合った価値を確実に得たいと考えているのです。ですので、商品に関する知識、特徴、メリット、潜在的な投資対効果など、販売員に対する期待も高くなります。
では、なぜ高額商品のセールスをマスターすることが重要なのかを理解した上で、そのコツをいくつかお伝えします。
商品を熟知する
前述したように、顧客はあなたが売ろうとしている商品について幅広い知識を持っていることを期待しています。製品の特徴や仕様から、市場における競合製品との比較における利点や潜在的な欠点まで、製品のあらゆる側面について徹底的に教育することが不可欠です。
ユニークな特徴を強調する
高額商品には、他の類似商品とは一線を画す特別な機能やベネフィットが付いていることが多いです。潜在的な購入者に付加価値を与えるため、製品を宣伝する際には、これらのユニークな特質を強調するようにしましょう。
ターゲットオーディエンスを特定する
高額商品を販売する場合、ターゲットオーディエンスを理解することは非常に重要です。例えば、あなたのターゲットが機能性よりも高級感を優先する富裕層であれば、実用的な機能に焦点を当てるよりも、製品の高級感や職人技を強調した方が効果的かもしれません。
アプローチをパーソナライズする
高額商品では、顧客一人ひとりのニーズや好みが異なるため、よりパーソナライズされた販売アプローチが必要になります。一般的なセールス・スクリプトを使うのではなく、時間をかけて顧客の痛点を理解し、それに直接対応しましょう。そうすることで、顧客は話を聞いて理解されたと感じるでしょうし、こちらも相手のニーズに合わせた売り込みができるのです。
関係を築く
高額商品を売るということは、単に一度きりの売上を上げることではありません。将来的にリピート購入してくれる可能性の高い顧客と長期的な関係を築くことになります。時間をかけて顧客と信頼関係を築き、お客様のニーズを理解し、販売後も満足してもらえるようフォローしていきましょう。
透明性を保つ
高額商品では、価格設定や商品の潜在的な制限や欠点について透明性を保つことが重要です。顧客は正直さと透明性を高く評価し、あなたのブランドに対する信頼を築くのに役立ちます。
卓越したカスタマーサービスを提供する
誰かが製品に多額のお金を費やすとき、お客様は一流のカスタマーサービスを期待します。価値の高い製品に関する問い合わせに対応し、個別のサポートを提供できるよう、チームが十分に訓練されていることを確認しましょう。
結論
高額商品の販売術をマスターするには、知識、スキル、個別アプローチを組み合わせる必要があります。ターゲット層を理解し、人間関係を築き、販売プロセスにおいて透明性を確保することで、この種の製品を効果的に販売し、最終的に企業の成功を導くことができるのです。
◉こちらの記事では「売上を上げるために売場ですぐに使える具体的なテクニック」についてお伝えしていますので合わせてご覧ください!
売上を上げるにはどうするべきか?【売場ですぐに使えるテクニック】
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①ベネフィットを感じてもらう
高い商品を売るために必ず必要なことは、お客様に【ベネフィット】を感じてもらうことです。
ベネフィットとは、お客様がその商品を使うことで得られるプラス効果のことで、それをイメージさせることが重要になります。
(例)
車を探しているお客様へのベネフィット提案
「本当にこの価格に見合う商品なのか?」 「これだけ高いものを買って、使わなくなったりしないだろうか?」 「この価格のものが自分には必要なのか?」
その商品にどれだけ優れた特徴があっても、お客様の中では「価格がそれだけするなら、そのくらい優れていて当然」という認識があるので、ハードルは相当高くなっています。
だからこそ、その商品の特徴はしっかりと伝えて商品価値は高めつつ、「この商品を使えば、お客様の未来が明るいものになりますよ」というプラス効果を伝える必要があるのです。
◉ベネフィットの考え方については、こちらの記事で詳しくお伝えしていますので合わせてご覧ください!
②分割払いの提案
①のベネフィットで、お客様がその商品を使うことで得られるプラス効果についてしっかりと伝えることができ、お客様も自分の将来にプラスになるというイメージができたら本格的に購入を検討します。
そこでの問題が「高い価格」です。
実際に商品を欲しいという気持ちになっても、価格が高すぎて払えないというケースは多々あります。
そのような時には支払い方法の提案でお客様の気持ちを前向きにしましょう。
月々の支払い金額を抑えながら、その商品を使ってもらえる【分割払い】がおすすめです。
50万円の商品でも分割払いにすると月々の負担が軽くなります。
1年払い(12回) → 月々41,600円
2年払い(24回) → 月々20,800円
3年払い(36回) → 月々13,800円
このように月々の金額を提示して、お客様の生活の中で負担がかからない回数を選んでもらうことで購買率を上げていくことができるのです。
この時もお客様にイメージしてもらうことが重要で、月々の支払額に対して「これくらいなら負担がなく払える」と思ってもらえるようなトークを意識しましょう。
ポイント❶ 日割りで金額提示
先程の50万円の商品の3年払い(36回)→月々13,800円を日割り(30日)で計算します。
13,800円÷30日=460円
こうすると1日460円です。
ポイント❷ 生活費の見直し
分割払いの提案をする時は「生活費の見直し」についての話をすることでお客様に気づきを与えることができます。
「これまで無駄に使っていた生活費があれば、そのお金を今回の商品に回してもらうことで負担なく購入いただける」という流れにもっていくトーク術です。
▪️光熱費の契約プランの見直し ▪️スマホ・インターネットの契約プランの見直し ▪️食費の見直し ▪️ガソリン代の見直し ▪️ゲーム課金の見直し
これら生活費の見直しを提案する時には【第三者話法】を使ってください。
第三者話法とは? 第三者の意見を紹介して間接的に伝えることで信ぴょう性が増し、こちらの話を警戒せずに聞いてもらうことができる話し方です。
このように【第三者話法】を使うことで、こちらから「生活費を見直してください」とお願いするのではなく、お客様の方から「そういう生活費の見直し方もあるのか…」と考えてもらうことができるのです。
ポイント❶ 日割りで金額提示 ポイント❷ 生活費の見直し
分割払いの提案をする時は、この二つのポイントを上手く活用して、お客様が支払額での負担を感じないトークをすることが重要となります。
◉こちらの記事では【第三者話法】も含めて、販売力を上げるための方法についてお伝えしています!
③値引きの活用
商品によっては【値引き】できるものがあると思います。
お客様心理としては「自分が欲しい商品が少しでも値引きになるなら嬉しい」と思う反面、「なんで値引きになるんだろう?もしかしてどこかに傷が入っているかも…」と気にする人もいらっしゃいます。
なぜ値引きできるのかをしっかりと伝えることでお客様も安心、納得した上で購入することができ、その後もリピーターとして来店していただくことがお店としては大切です。
伝えるべきことはしっかりと伝えながらも、お客様に欲しいと思ってもらえるセールストークでなければ高い商品は売れません。
例えば会社として「10日間限定キャンペーン」などで値引きできる時は
というお得感だけを押したトークでは、日常品などは売れても、高い商品となると難しいでしょう。
高い商品を売る時の考え方として「値引き = おまけ」と思ってください。
重要なのは上記でお伝えした【ベネフィット】を伝えることです。
そこの部分をしっかりと伝えてお客様にもそのことが伝わった後で値引きの話をすることにより、それが最後の一押しとなって購入に繋がるケースがあります。
上記でお伝えしたベネフィットの例だと
◉売れない日が続いてモチベーションも下がる中、どうすればいいのか分からなくて迷っている人はこちらの記事をご覧ください!
売れない時にすることは?【販売員中心の考え方を捨ててください!】
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④サービス品のタイミング
【サービス品】の考え方も値引きと同じで、【ベネフィット】をしっかりと伝えることが重要です。
ただ、サービス品を提案するタイミングは必ずしも最後とは決めず、そのお客様の反応によって変えることをおすすめします。
商品の良さは見るだけでは伝わらないものがありますよね。それが高い商品になるほど体感してみて初めてその良さが伝わるというケースは多いのではないでしょうか。ですので、サービス品といっても
▪️購入するとサービスできる商品
▪️体感するとサービスできる商品
に分けて、そのお客様に合わせた提案をすることで売上を作っていくことができます。
洋服であれば体感することで、軽さ、伸縮性、肌触り、シルエットなどが分かり興味が出てきます。 寝具であれば体感することで、寝心地、柔らかさ、弾力性、軽さなどが分かり興味が出てきます。 車であれば体感することで、操作性、機能性、走りやすさ、座り心地などが分かり興味が出てきます。
実際に体感して、その商品に興味が出てくると頭の中で使うイメージをします。そこで【ベネフィット】の提案をすることで、よりリアルなイメージへと変わり、欲しいという気持ちが出てくるのです。
◉こちらの記事では、販売初心者でも売れるようになる販売テクニックについてお伝えしています!
⑤感情を動かす
「買うつもりはなかった高い商品を衝動買いしたことがある」という経験がある人は多いのではないでしょうか。
ここまで高い商品を売る方法として
①ベネフィットを感じてもらう
②分割払いの提案
③値引きの活用
④サービス品のタイミング
この4つについてお伝えしてきましたが、これからお伝えする【感情】は非常に重要なポイントになります。
なぜ衝動買いをしてしまうのか?
それは【感情】が動いたからです。
感情には〈8つの基本感情〉があるとされています。
〈喜び〉〈信頼〉〈恐れ〉〈驚き〉
〈悲しみ〉〈嫌悪〉〈怒り〉〈期待〉
この中の〈喜び〉〈信頼〉〈期待〉の感情を動かすことで購買に繋げることができるのです。
〈喜び〉⇒【値引き】【サービス品】
値引きやサービス品をしてもらえるとお客様は喜びます。
その時もただ値引きやサービス品を渡すだけではなく、お客様が喜んでもらえるような言い方を意識することで、特別感を与えて、喜びの感情を動かすことができるのです。
〈信頼〉⇒【あなたの人柄】【接客スキル】
高い商品になるほど販売員の接客スキルは重要であり、商品の特徴、メンテナンス方法、アフターケアなど、お客様からの質問にはしっかりと答えられなければなりません。
そこにプラスして人柄も見られます。
どんなに商品に関することを完璧に答えることができても、ロボットのような対応をする店員からは商品を買おうとは思いません。
逆に入社したばかりの新人販売員が高い商品を売るケースがありますが、これはお客様のために一生懸命接客している姿勢が「これだけ自分のために一生懸命してくれるなら信頼できる」とお客様の感情を動かしたからです。
〈期待〉⇒【ベネフィット】
「この商品を使うことで自分の人生が豊かになる」とイメージできた時には、お客様は〈期待〉に胸膨らませて商品を購入してくださいます。
お客様がその商品を使うことで得られるプラス効果をイメージさせるためには、そのお客様の生活状況や考え方などを知らなければベネフィットの提案はできません。
そのためにはお客様とのコミュニケーションが重要です。商品についての話だけではなく、プライベートな会話の中から人柄や考え方などを知り、共感するところを見つけることで距離を縮めることができます。
自分がメインで話すのではなく、お客様がメインで話をしてもらえるように共感と質問を繰り返し、お客様が話した内容に紐づけて、ベネフィットの提案をしていきましょう。
そうすれば、お客様の商品を使うことへの期待値が高まり、感情が動き、購入する方向へと話を進めることができるようになります。
笑うという行為はリラックス効果もありますので、お客様の笑顔の回数が増えていればリラックスしてくれている証拠です。
感情を動かすことが難しいと思っている人は、「まず接客したお客様をどうすれば楽しませることができるのか?」を考えて行動してみてください。
◉アパレルで働いていて「現在よりも給料を上げたい!」と思っている方はこちらの記事をご覧ください!
まとめ
今回は「高い商品を売る方法5選」についてお伝えしました。
①ベネフィットを感じてもらう ②分割払いの提案 ③値引きの活用 ④サービス品のタイミング ⑤感情を動かす
この5つは高い商品を売るためには必要な要素です。まずは各項目の考え方を理解して、ロープレを行なってください。
高い商品だからといって苦手意識は持たずに積極的にお客様に提案していきましょう。
ロープレの数をこなしながらも、実際のお客様を相手に販売をすることで感覚が磨かれます。そうすれば、自分なりの言い回しやタイミングが分かってきて、必ず結果に結びつくはずです。
売上を取るために【客単価】を意識した販売で、高い商品が売れる販売員を目指しましょう!