マネジメントをする立場の人が必ずぶつかる壁が「部下の育成」です。
このような立場を利用した力任せの指導では、一時的な強制力はあっても長続きしません。
それどころか、部下の信頼を失う恐れがあります。
という人もいますが、本人は平等に指導しているつもりでも、不満分子は必ず出てきます。
部下も人間ですから当然と言えば当然です。
現在、あなたよりも上のポジションでバリバリ働いている人も、部下の育成で悩み、試行錯誤しながら現在の地位まで上がっていったはずです。
私もマネージャーというポジションについてから10年以上経ちます。新入社員から自分よりも経歴が上の年上部下まで何十人とマネジメントしてきました。
その中でも、今回は部下の育成で「大変だと感じた部下の5つの特徴」をそれぞれ解説していきます。
部下の育成で悩んでいる人には参考にしてもらえる内容となっていますので、最後までご覧ください。
①部下の育成でよくある悩み
部下ができると、自分がやるべき業務をこなしながら、部下の育成をする必要があります。
部下のミスは上司の責任ですから、指導なしでは正しい育成はできません。
私も10年以上マネージャーをしてきて、たくさんの部下に出会いました。その中でも大変だった部下の特徴を5つあげましたのでご覧下さい。
◆ 何度教えても同じ間違いを繰り返す部下
◆ 年上で注意しづらい部下
◆ 自己中心的な考え方しかできない部下
◆ 仕事の態度が悪い部下
◆ 感情の起伏が激しい部下
実際にこのような特徴の部下に対して、私が指導するために行った考え方や手順をお伝えしていきます。
②部下の育成で効果的な考え方
相対的に考える
物事は他との関係や比較の中で存在しているので、その時の置かれた状況により発想を変えて、柔軟な対応をしていく必要があります。
部下一人一人に個性があり、考え方も、仕事に対する姿勢や意識も、コミュニケーション能力も違ってきます。
Aさんをやる気にさせた方法が、Bさんにも通用するとは限りません。上司としては、部下一人一人に合った育成をしていくことが、かなり重要となります。
部下の育成(考え方の手順)
ここから部下を育成するための「考え方の手順と具体例」をお伝えします。
①【現状】⇒ 部下一人一人の現状を書き出す。
②【分析】⇒ 書き出した現状に対して「なぜ?」を繰り返し、答えを出していく。
※この「なぜ?」に対しての答えは仮定ですので、必ずしも正解というわけではありません。
③【原因】⇒ 原因を明確にする。
④【対処法】⇒ 原因に対しての対処法を考える。
部下の育成(考え方の具体例)
上記でお伝えした「大変だった部下の特徴5つ」を例にとり、具体的な考え方をお伝えします。
何度教えても同じ間違いを繰り返す部下
①【現状】 教えていることを理解していない。
②【分析】
「なぜ、部下は教えていることを理解していないのか?」
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「適当に対応しているから。」
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「なぜ、適当に対応しているのか?」
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「仕事への意識が低いから。」
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「なぜ、仕事への意識が低いのか?」
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「仕事へのやり甲斐が見出せていないから。」
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「なぜ、仕事へのやり甲斐が見出せていないのか?」
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「仕事での目標が決まっていないから。」
③【原因】
具体的な目標設定ができていなかった為。
④【対処法】
どんな小さなことを教える時でも、しっかりと目標設定を行い、その目標を達成させる。
達成できたら、具体的に良かった部分を褒めて、本人に成長を実感させることが大切。
成長を実感できれば仕事へのやり甲斐を感じて、楽しく働くことができる。
年上で注意しづらい部下
①【現状】
自分より社歴が長いので気を遣ってしまう。
②【分析】
「なぜ、年上の部下に気を遣ってしまうのか?」
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「自分に自信がないから。」
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「なぜ、自分に自信がないのか?」
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「自分の方が社歴が浅いので、まだ分からないことがあるから。」
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「なぜ、まだ分からないことがあるのか?」
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「忙しさにかまけて勉強していないから。」
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「なぜ勉強していないのか?」
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「分からなくても問題ないと安易に考えていたから。」
③【原因】
マネージャーとしての意識の低さが招いた結果。
④【対処法】
社内で分からないことがあるという負い目をなくすために、年上の部下が分かることを全て分かるように勉強する。
知識が増えることでマネージャーとしての自信に繋がり、しっかりと注意ができるようになる。
自己中心的な考え方しかできない部下
①【現状】
自分ばかりが頑張っていると主張してくる。
②【分析】
「なぜ、自分ばかりが頑張っていると主張してくるのか?」
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「自分の頑張りを認めてもらいたいから。」
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「なぜ、自分の頑張りを認めてもらいたいのか?」
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「自分の存在を認めてもらいたいから。」
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「なぜ、自分の存在を認めてもらいたいのか?」
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「認めてもらうことが嬉しいから。」
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「なぜ、認めてもらうことが嬉しいのか?」
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「認めてもらうことでモチベーションが上がるから。」
③【原因】
本人が仕事のモチベーションを上げるために主張していた。
④【対処法】
認めてもらうことで仕事のモチベーションが上がるのであれば、部下をしっかりと観察して、頑張っているところは褒めた上で、ちゃんと感謝の気持ちを伝える。
主張される前にこちらから存在を認めて上げることで、自分ばかりが頑張っているという態度の変化が見込める。
仕事の態度が悪い部下
①【現状】
不機嫌な態度を前面に出してくる。
②【分析】
「なぜ、不機嫌な態度を前面に出してくるのか?」
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「仕事に対して不満があるから。」
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「なぜ、仕事に対して不満があるのか?」
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「仕事が楽しくないから。」
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「なぜ、仕事が楽しくないのか?」
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「周りに馴染めていないから。」
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「なぜ周りに馴染めていないのか?」
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「コミュニケーションが全然取れていないから。」
③【原因】
コミュニケーションが取れないことによってストレスが溜まり、それが態度に出ている。
④【対処法】
まずはマネージャーから話しかける回数を増やし、コミュニケーションを図る。そこから周りの社員と一緒に仕事をする機会を与え、徐々に慣れさせていく。
定期的に全員でミーティングする場を設けて、コミュニケーションが取れるような環境作りをしてあげることも重要。
感情の起伏が激しい部下
①【現状】
注意されたらすぐに泣き出す。
②【分析】
「なぜ、注意されたらすぐに泣き出すのか?」
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「自分のミスを指摘されて悔しかったから。」
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「なぜ、自分のミスを指摘されて悔しいのか?」
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「本人はもっと出来るというプライドがあるから。」
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「なぜ、本人はもっと出来るというプライドがあるのか?」
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「これまで周囲から出来る人と思われてきたから。」
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「なぜ、これまで周囲から出来る人と思われてきたのか?」
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「本人が頑張って仕事に取り組んできたから。」
③【原因】
これまで頑張ってきたという自負があり、自分は出来る人間と思い込んでいる。その思い込みと現実とのギャップを受け止められず、感情をコントロールできずにいる。
④【対処法】
仕事を頑張ることに抵抗はないので、現在のレベルに合った仕事を任せて成功体験を多く積ませていく。
本人のプライドを尊重し、やる気を引き出すことに注力する。結果だけではなく、過程も褒める。
重要ポイント
上記を例を見ていただければ分かると思いますが、②【分析】する際の「なぜ?」に対する答えによって、その後の③【原因】④【対処法】の考え方も変わってきます。
もし、自分で考えた【対処法】を試してみて、部下に合わないと感じた時には、再び【分析】から考え直してみて下さい。これを繰り返していくことで、部下に合った育成方法が必ずみつかります。
周りから「仕事が出来ない奴」とレッテルを貼られている部下も、あなたの育て方次第では優秀な人材へと変わります。そのための育成方法についてはこちらの記事をご覧ください!
まとめ
今回は「大変だと感じた部下5つの特徴」について、具体例をもとに考え方をお伝えしました。
育成が難しいと感じる部下もいますが
というような、勝手な思い込みで判断するのはやめましょう。
部下が悪いのではなく、マネジメントスキルが足りないあなたの責任です。
今回の考え方を参考にしていただき、部下一人一人に合った育成を行って下さい。
そうすれば必ずチームとして力を発揮できるようになります!
今回の記事が皆さんのお役に立てれば幸いです。