皆さんはマネジメントを行う際に、どういった部分に注力していますか?
私は部下の「意識改革」を徹底してきました。
どのような仕事でも「意識を持って取り組む」のと「何も考えずに取り組む」のとでは、成長度合いに差がつきます。
私の店舗で入社1ヶ月で売上が急激に伸びた部下がいました。しかしこの部下は何も考えず接客に取り組んでいたので「これだけ売上を伸ばせた原因は何だと思う?」と聞いても明確な答えはなく、「いいお客様が多かったからですかね!」という返答でした。
せっかく売上が伸ばせたのにこれでは安定した数字は作れません。
「意識を持って取り組む」ことで結果から細かい分析ができるようになります。分析ができれば、それを次に活かしたり、他の部下に活かしたり、個人だけではなくお店全体にもプラスの影響を与えることができるのです。
そう考えると部下をマネジメントする際は、いかに一人一人が意識を持って仕事に取り組むことができるようにするのかを考えていかなければなりません。
私自身も意識を変えたことで行動が変わったのを実感しているので、その事を部下たちにも指導しています。
そこで今回は、私がマネジメントする上で取り組んでいる「意識改革の方法」についてお伝えしていきます。
①意識改革の方法
私は部下に対して【販売面】と【業務面】の意識を変えてもらう取り組みを行っています。
販売面
まずは日々の予算に対して、如何に数字を取っていくのかを考えてもらいます。そのために、部下の「数字」に対する意識を変える取り組みを行なってきました。
数字と言っても
【店舗月予算】【店舗累計予算】【店舗日割り予算】【予算比】【前年比】【個人別月予算】【個人別累計予算】【個人別日割り予算】【客数】【客単価】【セット率】
などがあり、数字が苦手な部下に対して
と伝えてもモチベーションを下げるだけです。
そこでまずは、一日一日の数字に対する意識を変えていくことにしました。
その日の【店舗予算】【個人予算】を確認した上で販売目標を立てさせます。
日々の数字を意識させることで
◆ 「売上が取れた日は何が良かったのか?」
◆ 「売上が取れなかった日は何が悪かったのか?」
ということが自分で振り返りやすくなります。
数字を意識せずに、ただ売場に立って販売しているだけでは「良かった点」「悪かった点」の振り返りができないのです。
振り返りができなければ、本人は成長も実感できず、改善策も立てることができず、ただ毎日販売をするだけになってしまいます。
それでもちゃんと売上が取れるのならばいいですが、今の時代そんな簡単には売れません。
ココがポイント
売上が取れなかった日には「なにがダメだったのか?」を振り返るように指導しましょう。そして次の日に向けての改善策を考えて、再び数字を意識した販売をさせることが大切です。
業務面
業務面では、効率良く作業を進めることが重要であり、そのために意識させたのが「時間」です。
何か業務を行ってもらう時には、予め時間を設けるようにしています。
時間を意識することで、「効率良く作業をするためにはどうしたいいのか?」と自ら考えて行動するようになるのです。
店舗では売れた商品のフォローや新作商品など大量に入荷することがあります。入荷があれば「店頭に出す商品」「ストックに直す商品」とに分ける作業があり、ストックに直す担当係はローテーションにしています。
店舗で一番重要なことは売上を取ることであり、そのために「接客数時間を多く作る」ということです。その為には、ストック整理をより短時間で終わらせる必要があります。
そこで大切なのが「時間」への意識です。
例えばシャツが100枚入荷した際、ストック担当者に自ら時間設定をしてもらいます。
と、時間を決めてもらったらすぐに取り組んでもらいましょう。
ココがポイント
時間を決めることにより、その時間内で終わらすために効率良くする方法を考えます。それを繰り返すことで「前回よりも効率良い方法はないのか?」と考えるクセがつき、業務面での効率が上がります。その結果作業は短時間で終わり、接客する時間を増やすことができるのです。
◉自分1人で頑張っていても店舗運営は行えません。こちらの記事では部下に仕事を任せる上で気をつけるポイントについてお伝えしています。
②意識改革のメリット
意識を変えることでのメリットは「成長できる」ことです。
皆さんは仕事をしていて、どのような時に成長を感じますか?
私の部下に聞くと
◆ 売上目標を達成した時
◆ 作業が短時間で出来るようになった時
◆ 責任ある仕事を任せられた時
などの答えがありました。
自分の成長を感じられる瞬間というのは本当に嬉しいですよね!
成長を実感するためには、日頃から意識を持って仕事に取り組む必要があります。
上記の
【販売面】では【数字】への意識
【業務面】では【時間】への意識
を持つことで、「売上が取れなかった時」「作業時間がかかりすぎた時」に具体的な反省点とそれに対する課題が見つけやすくなります。
売上が取れなかった時
・客数が少なかった→もっと早めにアプローチをかける
・客単価が低かった→単価の高い商品や複数提案を増やす
作業時間がかかりすぎた時
・商品をカテゴリー別に分けることに時間を取られた→入荷時に全員で商品をカテゴリー別に分類しておく
・新たなストックスペースを確保するのに時間がかかった→入荷予定商品をチェックして、事前にストックスペースを確保しておく
この反省点と課題を繰り返していくことでスキルアップでき、自らの成長を実感できるようになります。
成長の本質や原理原則をわかりやすく解説し、「成長とは何か」ということを読み進めながら体感することができる本がこちらです!
◉部下のモチベーションを上げることも大切な仕事の一つです。こちらの記事では実体験をもとにお伝えしています。
③意識改革の注意点
店舗の売上が悪い時に本社から「売上が悪い要因はなんですか?」と聞かれ
と答える人がいます。それを言い出すと売上が悪い店舗はどこもそうですし、逆に来店数が多くて売上が悪かったら、店舗自体に問題があるということになります。
他店舗の店長さんと話をしていても「部下の意識改革が必要だ」とおっしゃる人は多く、実際に意識が変われば行動が変わるのも事実です。ですが、ここで注意すべき点は
ということです。
部下に対して
と伝えても、部下の意識は変わりません。
アバウトな指示の出し方は受け取る人によって内容が大きく変わりますので気をつけてください。
◉言うことを聞かない部下への対処法についてはこちらの記事をご覧ください。
言うことを聞かない部下への対処法と考え方
続きを見る
④意識改革の具体的な取り組み方
部下の意識を変える為には
【数字に対しての具体的な取り組み方】→【行動】→【結果】
という手順が必要です。
【数字に対しての具体的な取り組み方】
月の個人予算を、日割り予算で考えて数値目標を立てます。そして日割り予算を達成するために、どの部分に力を入れるのか決めましょう。
・〈客数〉を取る
・〈客単価〉を上げる
・〈セット率〉を上げる
仮に〈客数〉を取ることを目標にした場合、以下の手順で目標設定を行います。
・月個人予算→300万
・日割り予算→300万÷出勤日数(20日)→15万
・客数予算→15万÷客単価(15,000円)→10人
※客単価(15,000円)に関しては、店舗の平均値や前年の値を参考に設定しましょう。
これで一日の客数目標が10人と出ました。
この客数10人という数字は購入してくれたお客様の数です。ここで
だけでは、部下の意識を変えるためにはまだ弱いです。
ココがおすすめ
客数10人というのは最終的な結果目標であり、そこにいくための行動(プロセス)目標を設定する必要があります。まずは、お客様が来店されてから購入するまでの流れをもとに考えましょう。
お客様の購買心理を表した「購買心理8段階」というものがあります。
【注目→興味→連想→欲望→比較検討→信頼→行動→満足】
この流れで、アプローチを行い、商品提示、商品提案、クロージングなど接客を行うのですが、ここで行動目標を設定します。
まずは、部下が「試着されたお客様に対して、どの位の割合で購入まで繋げることが出来るのか」を考えましょう。
この割合は、部下の販売スキルによって変わります。
セールストークやクロージングが上手なスタッフの購入してもらえる割合は高く、「試着はしてもらえるが最期のひと押しが苦手」というスタッフは購入までの割合が低いです。
この購入してもらえる割合は、部下の感覚とあなたの意見を参考にして決めましょう。
試着されたお客様が購入する割合を、仮に5割とします。そうすると、客数目標である10人を達成するためには、20人のお客様に試着をしてもらう必要がありますよね。ここから更に考えていきます。
次に、部下が「アプローチをかけたお客様に対して、どの位の割合で試着まで繋げることが出来るのか」を考えましょう。
この割合もアプローチの上手さで変わります。笑顔でお客様のニーズを聞き出し、着てみたいという気持ちにさせることが得意なスタッフは高い割合です。ここでも仮に5割とします。
そうすると「客数目標である10人を達成するためには、20人のお客様に試着をしてもらう必要があり、20人のお客様に試着をしてもらうためには、40人のお客様にアプローチをする必要がある」ということが分かります。
このように考えれば
【数字に対しての具体的な取り組み方】→【行動】→【結果】
という手順に当てはまりますので、日々の販売をしていく中で部下の意識を変えていくことができます。
まとめ
今回は「意識改革の方法」についてお伝えしました。
毎日、意識を持って仕事に取り組むことが成長へと繋がります。
マネジメントする側の人間は
と伝えるだけではなく、その仕組みを作って行動させ、成果を出させることが大切です。
その成果を部下が実感することこそが「意識改革」へと繋がります。
販売業での説明となりましたが、他業種の方でも参考にできる部分がありましたら是非とも取り入れてみて下さい。
今回の記事が皆さんのお役に立てれば幸いです。